グローバル保険プログラム

当社は、伊藤忠商事のin-houseブローカーとして、顧客企業のグローバル事業をカバーする包括的な保険プログラムを様々な業界で構築・導入しています。
当社が構築・導入支援するグローバル保険では、保険会社そのもののサービスネットワークを最大限に活用することで、世界各国でのBroker起用を最小限にとどめ、無駄な出費を抑え、コスト効果の高い効率的なスキームを実現しています。
全世界の保険契約を低コストで管理したい企業様、現プログラムを見直しを図りたい企業様からの問い合わせをお待ちしています。

グローバル保険プログラムとは

背景

グローバル保険プログラム(GIP)とは、多国籍企業に向けて開発された世界各国の損害保険を管理するための方法であり、世界中の数多くのグローバル企業で導入されています。GIPという仕組みが普及する以前は、グローバル企業は自社が進出している各国で保険契約を個別に手配せざるを得ませんでしたが、リスク管理の観点から3つの問題がありました。まず、各国で個別の保険契約の手配を行うため、保険料交渉においてスケールメリットの恩恵を得ることができませんでした。次に、補償条件・限度額が各国における仕様に任されている為、保険の適用漏れや重複した保険適用が発生し易くなっており、本社で全世界共通の保険手配基準を定めて各地で適用しようとしても、各国の保険規制や保険事情のために困難でした。最後に、各国で保険契約を扱う保険会社、代理店、ブローカーが異なるため、グローバルなリスク管理を行おうにも、現場末端まで本社指示が伝わらず、コントロールが効きませんでした。

構成と機能

グローバル保険プログラム(GIP)は、世界各国に散らばるグループ企業や海外支店に対して、統一された保険制度を包括的に導入する手段として創設されました。GIPは、物流保険、財産保険、事業継続保険など、保険商品毎に導入されることが一般的ですが、グローバルなリスク管理といった特性から、物流保険分野で先駆けて普及しました。工場から出荷された製品や半製品は、取引先に納品されるまで、1つの国に留まることは今日では稀で、世界中の多くの国や地域を通過します。こうした特性を持つ物流リスクについて各国・地域で別々の保険制度を設けることは合理的ではなく、海上保険の分野においては規制が緩いことも手伝い、グローバル保険プログラムが物流保険分野から普及し始めたと考えられています。

GIPには、プログラムを管理・統制する国(通常、グループの親会社の本社がある場所)で発行されるマスターポリシーと、事業会社が所在する各国で発行されるローカルポリシーで構成されています。ローカルポリシーは、各国における保険規制を遵守し、事故発生時の査定・保険金支払い実務に対応するために発効されます。マスターポリシーには、条件差補償(DIC)と限度額差補償(DIL)と呼ばれる補償が含まれており、マスターポリシーに規定された補償内容と責任限度額をグローバルに統一的に適用する機能を持っています。

マスターポリシーとローカルポリシーの補償内容に差異がある場合、DICがその差異を補償し、責任限度額に差異がある場合は、DILがその差異を補償します。ローカルポリシーがマスターポリシーで規定された補償内容と責任限度額に従って発行される場合、この種の補償は必要ありませんが、実際的な問題として、各国保険規制によって制限が発生し、差異が生じるケースは珍しくありません。

コントロール・オフィス

GIPを導入する場合、各国現場への指示系統を確保するため、特定の保険会社、或いはブローカーをパートナーとして選択する必要があります。プログラムを管理・統制する組織は、コントロールオフィス(通常、グループの親会社)と呼ばれ、グループのリスク管理方針の決定、グローバル保険の一括購入、各国グループ企業に対する指示、そして中央集権的なリスク管理を行う役割を担います。コントロールオフィスが、これらの役割と機能をプログラム全体にわたって適切に主導し、積極的に推進することが、プログラムの導入と運営の成功を導く鍵となります。保険会社はコントロール・オフィスで決定された内容に基づいて各国で保険証券を発行し保険カバーを提供する一方、保険ブローカーは各国保険会社と顧客現地法人の橋渡しを行い保険料請求事務などを行います。

導入のメリット

各国でバラバラに保険手配することによって生じる欠点は、グローバル保険プログラムの導入によって排除できます。コスト面では、スケールメリットを活用した全世界一括購買や、補償限度額をグループ全体で共有するなどの手段で、保険料を削減することができます。また、交渉窓口を一本化することで、グループ全体の保険手配に要する時間と労力を大幅に削減することができます。
また、グローバル保険プログラムの対象となるすべての海外事業に対して、一律の基準によって保険の詳細や責任制限が指定されることにより、重複する保険料や保険の漏れをなくすことができます。さらには、保険会社或いは保険ブローカーを一本化することで、リスクと保険に関わる情報共有ルートが一本化され、タイムリーな情報共有やリスク・事故データの集中管理が可能になります。

当社取り扱い商品

当社で取り扱う主な保険は以下の通りです。

  • 賠償責任保険・アンブレラ保険
  • PL保険
  • 財産保険 / 事業中断保険
  • 物流貨物保険
  • 取引信用保険
  • D&O保険
  • リコール費用保険

当社のユニークな取り組み

グローバルに事業を展開する大企業にとって、全世界的サービス網を有する著名な国際ブローカーを任命してGIPの運営に役立てることは非常に有益です。一方で、損害の発生頻度の少ない保険種目の場合、顧客企業のの中には各国でのブローカー任命を行わずに、コスト削減を図ることを優先する企業もあります。

当社では、コントロール・オフィスの意向に沿う形で、現地ブローカーの介在なしに全世界でローカル・ポリシーとマスター・ポリシーを発行できる、所謂コントロールド・マスター・プログラム(CMP)の運営が出来る著名な国際保険会社と、グローバル保険プログラムの構築を行うことで、現地ブローカーコストの削減を通じた、費用対効果の高いグローバル保険プログラムの導入を推進しています。新規にグローバル保険の導入を図りたい企業様、或いは更なるコスト削減を図りたい企業様は是非、お問い合わせください。
尚、日本企業においては、新しいプログラムの導入 / 切替には、各地域/国のリスクマネージャーの合意形成に時間を要することが多いのが実態です。トップダウンな意思決定ができる中央集権的な統制を持つ企業様においては、早ければ3か月で新スキームを導入することも可能です。

  • 開始月: 当社の提案
  • 1月目: 現行の保険契約と引受情報の収集および提出
  • 2月目: 新保険プログラムの提案と見積提示
  • 3月目: 新グローバル保険プログラムの始動